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2024/01/26 14:48

2021.12.24
 
はじめまして。
私はフリーランスの翻訳者(時々PR)の山口華恵です。

製薬会社やPR代理店で化粧品や医薬品の広報業務に携わった後、夫に帯同して約10年間、海外(ベルギー、ドイツ、アメリカ)で暮らしました。現在は夫と6歳の息子と、程よく自然がそばにあるつくばで暮らしています。
趣味は料理、ワイン、温泉、キャンプ、お散歩など。
こちらのコラムでは、主に海外で触れた暮らしのエッセンスや様々な国の友人から見聞きした興味深い話などをテーマに綴っていきたいと思います。

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徒然なるままに、冬のお茶時間の思い出

12月の時期に思い出す私にとっての海外の風景と言えば、ベルギーの石畳の道。ヨーロッパの石畳の道は美しく魅力的ですが、秋から冬にかけては想像以上に足元が冷えます。レザーブーツではその冷えに耐えられず、ほぼ毎日ムートンブーツやスノーブーツを履いて出かけていました。また、生活用水(硬水)の影響もあって冬の乾燥は一層過酷なのです。



当時、20代後半で夫婦二人暮らし。私自身は就労ビザもなかったので、朝からほぼ毎日、語学学校、週一回はボビンレース(ヨーロッパ発祥の伝統的なレース)学校に通っていました。ベルギーの公用語はなんと3つ!フラマン語(オランダ語)とフランス語とドイツ語。そのうち私はフラマン語とフランス語を学習していました。ここでフランス語を学んでいた当時、まさか将来フランス語の翻訳を仕事にするとは予想もしておらず、人生とはどこで何が役立つかわからないものです。


温かい季節は家から学校への石畳の道の散歩も楽しいのですが、とにかく冷える冬の季節に私を助けてくれたのが温かいお茶でした。日本のように販売機やコンビニがそこかしこにあるわけもなく、家で温かいお茶を入れてそれを大きめのタンブラーに注ぎ、外出の際は持ち歩いていました。現地で気に入ったハーブティーをいれたり、時々はチョコメル(オランダのチョコドリンク)にしたり、その日の気分で楽しんでいました。
 
ある日、風邪を引いて病院に行くと、エキナセアティーを飲んで数日ゆっくり寝てなさい、なんてことを言われたこともありました。ヨーロッパではハーブティーは薬局でも扱っており、常備薬のような存在です。私の場合、単一のハーブティーよりもブレンドのほうが飲みやすくて、よくお気に入りのビオショップ(主にオーガニック食品を扱う店)や薬局でブレンドハーブティーを購入していました。
 
また、当時すでに緑茶や抹茶がヨーロッパでも手軽に手に入り、お茶が恋しいときは時々購入していました。それでもほうじ茶や黒豆茶、ハトムギ茶などはなかなか手に入らず、時々日本から届く母からの贈り物にお茶が入っていると嬉しかったのをつい昨日のことのように思い出します。


学校の帰りに日本人の友人はもちろん、世界中からやってきた学生の友人たちとカフェや自宅でお茶する時間も私の楽しみの一つでした。この時期になると美味しいのが、クリスマスマーケットのグリューワイン(シナモンスティックが入ったホットワイン)、アップルサイダー(温かいりんごジュース)、そしてカプチーノ!ベルギーでカプチーノをオーダーするとかなり高い確率で(特にフランス語圏のワロン地方)、生クリームたっぷりのって出てくるのです。寒い冬には見た目もほっこりして最高です。
 
フランス語のクラスが一緒だったフィンランド人のカティは、学校の後に一緒にヨガやズンバに通ったり、カフェでおしゃべりしたり、楽しい時間をいっぱい過ごした友人の一人。ノルウェー人のパートナーと暮らす彼女の家はスカンジナビアの雰囲気一色でいつ訪れても、とても素敵でした。カップ&ソーサーをあえて同じもので統一せず、様々なものを収集していた彼女。その時の気分や友人の雰囲気に合わせて選んでくれました。私も彼女を真似て、ベルギー、ドイツ、アメリカの様々な蚤の市に出かけては直感的にいいな、と思ったものをコツコツ集めて、今ではキャビネットに色んなカップ&ソーサーが並んでいます。
 
日本に本帰国した今、仕事の間に一人で、食事の後に家族で、お散歩のお供にお茶時間を楽しんでいます。温かい日本の関東地方に暮らしても、お茶を飲み、ホッと温まる時間は冬のとても大切な時間です。
 
最近はジョシーユの養生茶がお気に入りです。単体では少し癖のあるお茶もバランスよくブレンドされており、とても香りと喉ごしがよくて優しいのです。ヨーロッパでよく飲んでいたブレンドのハーブティーをふと思い出します。使われている素材は違うけれど、それぞれの地元で育ち、昔から健康のために愛飲されてきたという共通点。味だけでなく、ビタミンやミネラル、天然ポリフェノールなど栄養を多く含むのも嬉しいポイントです。
 
とても便利で暮らしやすい日本。でもそれに甘んじるとついついプラスチックゴミが増えてしまいます。あの不便だったけれど愛おしいヨーロッパでの暮らしを思い出し、できるだけタンブラーをお供にお出かけするように心がけています。こんなに美味しいハーブティーや薬草茶が作られる大地が少しでも綺麗で豊かであるように、日々できることから取り組めたらいいですよね。