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2024/01/26 17:37

2022.06.20

 

無事にお引越が終わり、同時に娘の夏休みもスタートしました!
まさに猫の手も借りたい数週間で、段ボールの山に囲まれながら荷ほどきや家具の移動などで慌ただしく過ごしていました。

アメリカの家事情は日本と違うところが多く、お引越をするたびに面白いなと思うので、今回はそのお話をしますね!

まず、引越の度に毎回思うのは壁のことです。日本では壁紙が使われている物件が多くて、引越し時に不動産屋さんが張り替えの手続きをしてくれますが、アメリカでは壁に直接ペンキが塗られているところがほとんどで、借主が自分で好きな色に塗り替えても構いません。返却時にある程度きれいに戻しておけば問題ないので、ドリルで壁に穴を開けて棚を作ったり、キッチンの蛇口などを好きなものに取り替えることも自由で、DIYやインテリア好きの人にはやり甲斐があるなぁと思います。
 
DIYの大型店に行くと品揃えが圧巻で、老若男女問わず大きなカ-トに長い板やペンキの缶などをたくさん載せて買い物している姿を見かけます。プロに頼むより安上がりだからということもあると思いますが、意外に器用な人が多くて頼もしいなぁと関心してしまいます。
 
日本は対照的で画鋲の跡も気になるほどですが、その分、家を丁寧に扱うところが素晴らしいとしみじみ思います。電気や水回りもきちんとメンテナンスされていて、清潔でホッとします。アメリカの物件は個性的で面白いですが、その分当たり外れがあってウンザリしてしまうことも。家は住んでみないと分からないこともあるので難しいところです。
 
パリに住んでいた時もDIYに関しては同じような感じだったのですが、アメリカのエアコン事情、が日本ともフランスとも違ったので少し驚きました。アメリカでは、ひとりでギリギリ持てるくらいの重いボックス型のク-ラ-を借主が購入して、自分で窓にガシャッと設置する物件が多いのです。引越をする時は、それをまた取り外して新居に持っていきます。道を歩いている時に、窓に挟んであるク-ラ-が上から落ちてくるんじゃないかと時々心配になることがあるのですが、実際そういう事もあるようでヒヤヒヤします。省エネでAIが搭載された日本のエアコンを知ったら、きっとこちらの人は驚くはず。
 
良くも悪くも、日本よりもゆるいところが多いのがアメリカだなぁと思います。

ところで、私達の新しい家は古い教会を見渡すことが出来る小さな丘の上にあります。初めて訪れた時に、この地域の景色と日当たりの良さが気に入った所のひとつだったのですが、住んでみてますます好きになりました。このところ暑さも本格的になってきましたが、緑が多く風通しの良い丘のおかげで朝夕は窓から涼しい風が入り、まだ天井に付いているファンだけで過ごすことが出来ているからです。近所の家が皆、朝夕に植物に水撒きをしているのも涼しさの理由かもしれません。買い物などをして家に帰る時は登り坂なのが少し大変なのですが、それも良い運動になっているかなと思います。

前回、チラリとお話したグラウンドホグは、どうやら庭にある小屋の床下に住んでいるらしく、他にもウサギやリスなども見かけるので、もし野菜を育てたいなら彼らに食べられないように金網で囲いを作ったほうがいいと大家さんにアドバイスされました。さっそく柵の作り方を調べてみたのですが、どうやら敵も賢いようで色々と工夫しないとイタチごっこになりそう。なぜかグラウンドホグは警戒心があまりないようで、検索してみると堂々と美味しそうに人参などをポリポリと食べる姿がたくさん見つかるので、つい笑みが溢れてしまいます。今年は様子を見ながら、動物達が苦手そうなハ-ブや苦い葉物、食べられない花々を中心に育ててみようかと思っています。



先日、近所にあるビ-ル醸造場のレストランで夕ご飯をして、夕暮れ時の坂道を娘と二人で登っていたら、原っぱ辺り一面、蛍がふわふわと飛んでいて驚きました。


アメリカの蛍は水辺でなくても生息できるのでこの時期になるとNYの都会でも飛んでいるのですが、こんなにたくさんの蛍が観れるなんて思ってもいませんでした。家に到着すると、我が家の薄暗い庭や向こうの木々もキラキラと光っています。そして目線の向こうに、まん丸のお月さまが雲の影からゆっくりと姿を現しました。娘の目の前にフワッと光った蛍はまるでティンカーベルのようで、昔の御伽話のル-ツはやはりこういう自然の中から生まれてきたんだなぁと実感した一夜でした。

日本は梅雨の季節ですね。
この季節の紫陽花を思うととても恋しくなってしまいます。
どうぞ素敵な夏をお迎え下さいね。




カヒミ カリィ

ミュージシャン、文筆家、
フォトグラファー 。91年デビュー以降、
国内外問わず数々の作品を発表。
音楽活動の他、映画作品へのコメント執筆、
字幕監修、翻訳など幅広く活躍。これまで
カルチャー誌や文芸誌などで写真
執筆の連載多数。2012年よりアメリカ在住。

http://www.kahimi-karie.com
Instagram : @kahimikarie_official