vol.5 
お引越とティンカーベル
kahimi karie

2022.06.20

 

無事にお引越が終わり、同時に娘の夏休みも
スタートしました!
まさに猫の手も借りたい数週間で、段ボールの
山に囲まれながら荷ほどきや家具の移動などで
慌ただしく過ごしていました。

 

 
アメリカの家事情は日本と違うところが多く、
お引越をするたびに面白いなと思うので、
今回はそのお話をしますね!

まず、引越の度に毎回思うのは壁のことです。
日本では壁紙が使われている物件が多くて、
引越し時に不動産屋さんが張り替えの手続きを
してくれますが、アメリカでは壁に直接ペンキが
塗られているところがほとんどで、借主が自分で
好きな色に塗り替えても構いません。返却時に
ある程度きれいに戻しておけば問題ないので、
ドリルで壁に穴を開けて棚を作ったり、キッチン
の蛇口などを好きなものに取り替えることも
自由で、DIYやインテリア好きの人にはやり甲斐
があるなぁと思います。

 
DIYの大型店に行くと品揃えが圧巻で、老若男女
問わず大きなカ-トに長い板やペンキの缶などを
たくさん載せて買い物している姿を見かけます。
プロに頼むより安上がりだからということもある
と思いますが、意外に器用な人が多くて頼もしい
なぁと関心してしまいます。

 
日本は対照的で画鋲の跡も気になるほどですが、
その分、家を丁寧に扱うところが素晴らしいと
しみじみ思います。電気や水回りもきちんと
メンテナンスされていて、清潔でホッとします。
アメリカの物件は個性的で面白いですが、その分
当たり外れがあってウンザリしてしまうことも。
家は住んでみないと分からないこともあるので
難しいところです。

 

パリに住んでいた時もDIYに関しては同じような
感じだったのですが、アメリカのエアコン事情、
が日本ともフランスとも違ったので少し驚きまし
た。アメリカでは、ひとりでギリギリ持てるくら
いの重いボックス型のク-ラ-を借主が購入し
て、自分で窓にガシャッと設置する物件が多いの
です。引越をする時は、それをまた取り外して
新居に持っていきます。道を歩いている時に、窓
に挟んであるク-ラ-が上から落ちてくるんじゃ
ないかと時々心配になることがあるのですが、
実際そういう事もあるようでヒヤヒヤします。
省エネでAIが搭載された日本のエアコンを知った
ら、きっとこちらの人は驚くはず。
 
良くも悪くも、日本よりもゆるいところが多いの
がアメリカだなぁと思います。

 
 
ところで、私達の新しい家は古い教会を見渡す
ことが出来る小さな丘の上にあります。初めて
訪れた時に、この地域の景色と日当たりの良さが
気に入った所のひとつだったのですが、住んで
みてますます好きになりました。このところ暑さ
も本格的になってきましたが、緑が多く風通しの
良い丘のおかげで朝夕は窓から涼しい風が入り、
まだ天井に付いているファンだけで過ごすことが
出来ているからです。近所の家が皆、朝夕に植物
に水撒きをしているのも涼しさの理由かもしれま
せん。買い物などをして家に帰る時は登り坂なの
が少し大変なのですが、それも良い運動になって
いるかなと思います。

 
 
 
前回、チラリとお話したグラウンドホグは、
どうやら庭にある小屋の床下に住んでいる
らしく、他にもウサギやリスなども見かける
ので、もし野菜を育てたいなら彼らに食べら
れないように金網で囲いを作ったほうがいい
と大家さんにアドバイスされました。さっそく
柵の作り方を調べてみたのですが、どうやら
敵も賢いようで色々と工夫しないとイタチ
ごっこになりそう。なぜかグラウンドホグは
警戒心があまりないようで、検索してみると
堂々と美味しそうに人参などをポリポリと
食べる姿がたくさん見つかるので、つい笑み
が溢れてしまいます。今年は様子を見ながら、
動物達が苦手そうなハ-ブや苦い葉物、食べ
られない花々を中心に育ててみようかと思っ
ています。
 
 
  
 
先日、近所にあるビ-ル醸造場のレストラン
で夕ご飯をして、夕暮れ時の坂道を娘と二人で
登っていたら、原っぱ辺り一面、蛍がふわふわ
と飛んでいて驚きました。

 

アメリカの蛍は水辺でなくても生息できるので
この時期になるとNYの都会でも飛んでいるの
ですが、こんなにたくさんの蛍が観れるなんて
思ってもいませんでした。家に到着すると、
我が家の薄暗い庭や向こうの木々もキラキラと
光っています。そして目線の向こうに、まん丸
のお月さまが雲の影からゆっくりと姿を現しま
した。娘の目の前にフワッと光った蛍はまるで
ティンカーベルのようで、昔の御伽話のル-ツ
はやはりこういう自然の中から生まれてきたん
だなぁと実感した一夜でした。
 
 
 
日本は梅雨の季節ですね。
この季節の紫陽花を思うととても恋しくなって
しまいます。

どうぞ素敵な夏をお迎え下さいね。
 

 

カヒミ カリィ

ミュージシャン、文筆家、
フォトグラファー 。91年デビュー以降、
国内外問わず数々の作品を発表。
音楽活動の他、映画作品へのコメント執筆、
字幕監修、翻訳など幅広く活躍。これまで
カルチャー誌や文芸誌などで写真
執筆の連載多数。2012年よりアメリカ在住。

http://www.kahimi-karie.com
Instagram : @kahimikarie_official

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