2021.12.24 はじめまして。 私はフリーランスの翻訳者(時々PR)の 山口華恵です。 製薬会社やPR代理店で化粧品や医薬品の 広報業務に携わった後、夫に帯同して 約10年間、海外(ベルギー、ドイツ、 アメリカ)で暮らしました。現在は夫と 6歳の息子と、程よく自然がそばにある つくばで暮らしています。趣味は料理、 ワイン、温泉、キャンプ、お散歩など。 こちらのコラムでは、主に海外で触れた 暮らしのエッセンスや様々な国の友人 から見聞きした興味深い話などをテーマ に綴っていきたいと思います。 *** 徒然なるままに、冬のお茶時間の思い出 12月の時期に思い出す私にとっての海外の 風景と言えば、ベルギーの石畳の道。 ヨーロッパの石畳の道は美しく魅力的です が、秋から冬にかけては想像以上に足元が 冷えます。レザーブーツではその冷えに 耐えられず、ほぼ毎日ムートンブーツや スノーブーツを履いて出かけていました。 また、生活用水(硬水)の影響もあって 冬の乾燥は一層過酷なのです。 当時、20代後半で夫婦二人暮らし。私自身 は就労ビザもなかったので、朝からほぼ 毎日、語学学校、週一回はボビンレース (ヨーロッパ発祥の伝統的なレース)学校 に通っていました。ベルギーの公用語は なんと3つ!フラマン語(オランダ語) とフランス語とドイツ語。そのうち私は フラマン語とフランス語を学習していま した。ここでフランス語を学んでいた 当時、まさか将来フランス語の翻訳を 仕事にするとは予想もしておらず、 人生とはどこで何が役立つかわからない ものです。 温かい季節は家から学校への石畳の道の 散歩も楽しいのですが、とにかく冷える 冬の季節に私を助けてくれたのが温かい お茶でした。日本のように販売機や コンビニがそこかしこにあるわけもなく、 家で温かいお茶を入れてそれを大きめの タンブラーに注ぎ、外出の際は持ち歩い ていました。現地で気に入ったハーブ ティーをいれたり、時々はチョコメル (オランダのチョコドリンク)にしたり、 その日の気分で楽しんでいました。 ある日、風邪を引いて病院に行くと、 エキナセアティーを飲んで数日ゆっくり 寝てなさい、なんてことを言われたこと もありました。ヨーロッパではハーブ ティーは薬局でも扱っており、常備薬 のような存在です。私の場合、単一の ハーブティーよりもブレンドのほうが 飲みやすくて、よくお気に入りのビオ ショップ(主にオーガニック食品を扱う 店)や薬局でブレンドハーブティーを 購入していました。 また、当時すでに緑茶や抹茶が ヨーロッパでも手軽に手に入り、お茶が 恋しいときは時々購入していました。 それでもほうじ茶や黒豆茶、ハトムギ茶 などはなかなか手に入らず、時々日本 から届く母からの贈り物にお茶が 入っていると嬉しかったのをつい昨日 のことのように思い出します。 学校の帰りに日本人の友人はもちろん、 世界中からやってきた学生の友人たちと カフェや自宅でお茶する時間も私の楽しみ の一つでした。この時期になると美味しい のが、クリスマスマーケットのグリュー ワイン(シナモンスティックが入った ホットワイン)、アップルサイダー (温かいりんごジュース)、そして カプチーノ!ベルギーでカプチーノを オーダーするとかなり高い確率で (特にフランス語圏のワロン地方)、 生クリームたっぷりのって出てくるの です。寒い冬には見た目もほっこりして 最高です。 フランス語のクラスが一緒だったフィン ランド人のカティは、学校の後に一緒に ヨガやズンバに通ったり、カフェで おしゃべりしたり、楽しい時間を いっぱい過ごした友人の一人。 ノルウェー人のパートナーと暮らす 彼女の家はスカンジナビアの雰囲気 一色でいつ訪れても、とても素敵 でした。カップ&ソーサーをあえて 同じもので統一せず、様々なものを 収集していた彼女。その時の気分や友人 の雰囲気に合わせて選んでくれました。 私も彼女を真似て、ベルギー、ドイツ、 アメリカの様々な蚤の市に出かけては 直感的にいいな、と思ったものを コツコツ集めて、今ではキャビネット に色んなカップ&ソーサーが並んで います。 日本に本帰国した今、仕事の間に一人で、 食事の後に家族で、お散歩のお供にお茶 時間を楽しんでいます。温かい日本の 関東地方に暮らしても、お茶を飲み、 ホッと温まる時間は冬のとても大切な 時間です。 最近はジョシーユの養生茶がお気に入り です。単体では少し癖のあるお茶も バランスよくブレンドされており、 とても香りと喉ごしがよくて優しい のです。ヨーロッパでよく飲んでいた ブレンドのハーブティーをふと思い出し ます。使われている素材は違うけれど、 それぞれの地元で育ち、昔から健康の ために愛飲されてきたという共通点。 味だけでなく、ビタミンやミネラル、 天然ポリフェノールなど栄養を多く 含むのも嬉しいポイントです。 とても便利で暮らしやすい日本。でも それに甘んじるとついついプラスチック ゴミが増えてしまいます。あの不便 だったけれど愛おしいヨーロッパでの 暮らしを思い出し、できるだけタン ブラーをお供にお出かけするように 心がけています。こんなに美味しい ハーブティーや薬草茶が作られる大地が 少しでも綺麗で豊かであるように、 日々できることから取り組めたら いいですよね。