2023.5.8
下道 千晶 モデル・俳優。
2015年に、房総半島へ移住。
自然に寄り添う暮らし方を実践中。
また、天然藍を使った染め直しの活動
「meets BLUE project」を始め、
活動を通して持続可能な
ライフスタイルを提案している。
この冬から春にかけて、Joscille skin&mildの
ローション、トウキ葉と米糠を使用していまし
た。
私にとって化粧水って実は選び方がむつかし
く、その後に使う美容液や乳液によって大きく
左右されてしまう存在です。シャバシャバ過ぎ
ても物足りないし、とろみがありすぎるのもト
ゥーマッチ。ちょうど良くて年中使える、相棒
のような化粧水はないものか… そんななか出
会ったのがこのトウキ葉と米糠のローションで
した。
ポンプから手のひらにプッシュすると、おや?
君はシャバシャバ系かい?と思うほどサラサラ
としたローションなのですが、手のひらから顔
に馴染ませると、びっくり。しっとりすいつく
ようなテクスチャーなのです。かと言って、ネ
ッチョリし過ぎて次の美容液や乳液の邪魔にな
るわけでもなく、なんだかとっても「ちょうど
いい」感じ。冬のスペシャルケアにも、春先の
紫外線が気になり出したケアにも、どちらの私
にも寄り添って味方になってくれるような存在
でした。
どちらの私にも味方になってくれる、このこと
について、最近感じたことがあります。
ここ数ヶ月、私はアドラー心理学をゆるゆると
学んでいる最中です。
学ぶといっても、隙間時間にアドラー心理学に
ついて解説しているポッドキャストを聴くとい
うくらいの、なんともマイペースな学びなので
すが、子育て・教育のなかでアドラーの考えを
どう活かすかという回で私にとって大きな発見
がありました。
例えば子供が失敗してしまったとき。
私たちは「どうして〇〇しちゃったの」「なぜ
〇〇できなかったの」とついつい原因を探って
しまいがちです。原因がわかることによって、
同じ失敗を繰り返さないようにしてあげたい、
という親心なのですが、実はこの声かけは子供
の自尊心を低下させてしまう恐れがあるんだと
か。
でも考えてみればそうなのかも知れません。
「どうしてできなかったのか」を考えるとき、
「できなかった自分」を同時に見つめ続けるこ
とになるからです。そう思うと「どうしてでき
なかったのか」を考え続けることは、「できな
い自分」にとどまり続けることになってしまう
ことなのかも。
では、失敗を放置すれば良いのか、というと、
そういうことでもないのです。
大切なのは、失敗を糧にして、未来に向けて進
むことができるように、子供たちを勇気づけて
あげること。そのために私たちができる声かけ
は「どうすればよかったのかな」なのだそうで
す。この言葉には、失敗してしまったことがダ
メなことだと否定するのではなく、そんな自分
を受け入れつつも成長するために考える、とい
う前向きなニュアンスを含んでいるように感じ
ます。

「何故できなかったのか」と「どうしたらよか
ったのか」。
微差のように感じますが、心のとらえかたは大
きく違ってくるようです。「どうしたらよかっ
たのか」は今の自分が否定されることなく前に
進むことができる。子供たちにとって安心でき
る声かけだなぁ、と、この小さくて大きな違い
にとても感動したのでした。
この感動をかみしめているうちに、ふ、と、気
がついたことがありました。
あれ、わたしはわたし自身にいつも「どうして
できなかったんだろう」「何故あんなことしち
ゃったんだろう」と声かけしてはいないかし
ら、と。
私たちは成長していくなかで、社会人としての
自分、誰かの友人やパートナーとしての自分、
親である自分、子である自分…、と様々な役割
を担うようになりました。そしてその役割を一
生懸命にまっとうしようとしています。その役
割がよくできた時には自分を褒めたい気持ちに
なって、できなかった時には「どうしてできな
かったのか…」とひどく落ち込んで、自分のこ
とが情けなくって、価値がない人間のように思
ってしまいがちです。
でも本当にそうなのでしょうか。何かが達成で
きたときにだけ自分には価値があり、失敗した
り何もできない自分には価値がないのでしょう
か。自分のことを価値のある人間だと言うのは
とってもハードルが高いことですが、では、家
族や友人や恋人は、自分に何か利益をもたらし
てくれるときにだけ価値のある存在でしょう
か。きっと、そんなことは、ないですよね。
だとしたら、自分にだってその優しい眼差しを
向けても良いはずです。
頭の中のわたしが、今ここに居るわたしに、
「どうしてできなかったの」「何故あんなこと
しちゃったんだ」そんなふうに声をかけそうに
なったら少しだけ言葉を変えてみて。「どうし
たらよかったんだろうね」「これから何ができ
るかな」そんなふうに少しずつ自分を勇気づけ
てみるのはどうだろう。
失敗しない自分だけじゃなく、失敗しちゃう自
分でも、信じて味方になってあげる。
完璧じゃない私たちが、それでも前に進むため
に。
わたしからわたしへ、ささやかなエールを。