vol.1 
小さなカケラ
kahimi karie

2022.01.11

 

最近、大好きだった祖母のことを
よく思い出します。
晴れた日の午後、ふたりで縁側に座って蕗や
サヤインゲンの筋を取ったことや、お昼によく
作ってくれた美味しいカレーチャ-ハンと
きれいなブル-のお皿。
夕方になるとガラスの器を片手に近所の
お豆腐屋さんへ手を繋いで行ったこと、
幼い私が椅子代わりにしていたクッキ-の
大きな空き缶、お風呂に入るときに
渡してくれた新しい石鹸の良い香りと
真っ白な湯気・・・。  
 
そして、娘が生まれた頃に時間はひょいと
飛びます。 娘が元気にハイハイするたびに
ギーと軋んだ音を立てた、古い板張りの廊下。
春になると石塀の隙間から顔を出した庭の
可憐なスミレ、娘用の黄色い爪切りと
木製の小さなヘアブラシ・・。 
   
考えてみると、家族旅行や誕生日のお祝いなど
もっと素敵な思い出は沢山あるのに、心にふと
浮き上がってきて私をゆったりと幸せな気持ちに
させてくれるのは、いつもなぜかそんな何気ない
小さなことばかりのようで、不思議に思います。
  
どうやら幸せというのは、特別な良い出来事が
起こった時だけに生まれるものではないよう
です。 
 
実は、意外に私達が過ごす毎日の中で何気なく
コロンと転がっているもので、それを自分で
見つけられるかが鍵なのかもしれません。
 
そう思うと、たくさんの小さな幸せのカケラを
私に与えてくれた祖母に、感謝の気持ちで
一杯です。 
 
時に辛く冷たい大波に飲まれてしまいそうに
なる事があっても、それでも人生は美しい
ものだと思う事ができ、そしてその大波を
乗り越える勇気を与えてくれるのは、
実はそんなカケラ達のお陰なのかもしれないと
思うこの頃です。



joscilleの猫石鹸は、娘と私にとってそんな
幸せのカケラそのものです。

初めて手に取った時の盛り上がりと言ったら
ありませんでした。
「あまりに可愛くて使うのがもったい
ないね〜。お母さん、猫ちゃんの顔を
溶かさないようにして使ってみてね!」。
ある日、片耳がちょっと欠けたら
「保護された野良猫みたいだね!」
と笑う娘。そしてその後しばらくすると、
なんと石鹸は猫から熊さんに変身をとげ、
私達はまた盛り上がったのでした。  
もちろん楽しいだけでなく、使うたびに
ゼラニウムやレモン、マージョラムの香りで
ゆったりと肌や心も満たされます。気づくと、
猫石鹸と竹の布のマスクの相乗効果で娘の
ニキビがすっかり落ち着いていました。
 
そして私は乾燥肌で娘と正反対なのにも
かかわらず、やはり調子が良いのです。
その心地良さから、大切に心を込めて作られた
ものだということを実感しています。

 

私の祖母も、何をしても心を込める丁寧な人
だったなと思います。そして優しく大らかで、
一緒にいると安心出来るような逞しさも感じ
ました。 私がそんな風にして祖母から大切な
思い出をたくさん貰ったように、私も娘に
そうしてあげられたら、と思っています。

 

何気ない日々の中に楽しみや幸せを見つける
チカラを、娘が持ってくれたら嬉しいです!
 
どうか2022年が穏やかで笑顔溢れる
素敵な年になりますように。。


カヒミ カリィ

ミュージシャン、文筆家、
フォトグラファー 。91年デビュー以降、
国内外問わず数々の作品を発表。
音楽活動の他、映画作品へのコメント執筆、
字幕監修、翻訳など幅広く活躍。これまで
カルチャー誌や文芸誌などで写真
執筆の連載多数。2012年よりアメリカ在住。

http://www.kahimi-karie.com
Instagram : @kahimikarie_official

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