vol.9 
師走の空とカラス達
kahimi karie

2022.12.21

 

年の瀬も押し迫り寒さが本格的になってきまし
たが、いかがお過ごしですか?
 
 
先日、鳥の声が騒がしいなと思って外に出てみ
ると、空に今まで見たことがないくらい沢山の
カラスが一斉に飛んでいて驚きました。遠くに
見える木の枝々を良く見ると、葉々だと思って
いた影は全てカラスで所狭しと並んでいます。


不思議に思って調べてみると、この時期になる
とカラスは集団となって一つの寝ぐらを共有す
るのだそう。多くは数百羽から数千羽のグルー
プ、寒い冬の時期は集団寝ぐらを作って体温調
節をしやすくしたり、餌場の情報を交換した
り、つがいをみつける機会を増やすのです。我
が家の近くには小さな森林があるので、きっと
そこで夜を過ごしているのでしょう。カラス達
は寒波が来るのをすでに分かっていたのか、数
日後から気温がまた急に下がりました。


都会のカラスはちょっと物騒な印象があります
が、田舎で見かけるカラスは悠々としていて穏
やかで風情を感じます。娘が幼い頃によく読ん
であげた、かこさとしさんのカラスの絵本を思
い出して、ほっこりとした気持ちになりまし
た。



ところでこの時期、ペンシルベニアの朝は凍
りつく寒さで何とマイナス10度になることも
あります。


平日は娘のお弁当を作る為に6時半前に起きる
のですが、窓の外はまだ薄暗く、7時頃になる
とやっと空がピンク色に染まってきます。私は
本来夜型で、昔は早朝に起きるのが辛かったの
ですが、娘の学校だと思うとなぜか起きられる
ようになったのは、やはり責任感やヤル気の違
いでしょうか。なかなかベッドから出てこない
娘の姿を見て、自分が幼かった頃を懐かしく思
います。

目覚ましが鳴っても夢うつつですが、まずブラ
ンケットの中で簡単なヨガのポ-ズをしてゆっ
くりストレッチ。これは以前、勢いで起きて大
きな伸びをしたら背中がつってしまったことが
あったので、欠かさずやる様にしています。そ
してベッドから出ると鉄瓶でお湯をゆっくり沸
かし、その間にシャワーを浴びて、Joscilleの
エッセンスやオイルで肌や髪の手入れをした
ら、レモン入りの白湯やお茶を飲みながら娘の
朝ごはんとお弁当を作り始めます。



遅刻しないよう娘を急かせたり髪を結ってあげ
たりで結構慌ただしいのですが、そのお陰で家
を出る頃にはすっかり目も覚めて一日がスター
トした気持ちになれます。


早朝の冷たく新鮮な空気を吸いながらいつもの
道を歩くと、一見変わらない冬の風景でも、陽
の光や風、道端の植物、鳥や猫達…本当は全て
変化していて、毎日新しい景色が広がっている
事に気付きます。


毎日歩く道だからこそ、その小さな変化に気付
くことが出来るのだなと思うと、娘と歩く何で
もない道も恋しく感じられます。


春夏にたくさん成長した我が家の庭の草花や野
菜達もすっかり枯れて、今はどこからか飛んで
きた大きな枯れ葉だけが絨毯のように静かに積
もっています。



春に植えたレモンバ-ベナやラベンダー、ミン
トなどは秋に収穫し乾燥させてハ-ブティなど
にし、バジルはクルミやオリ-ブオイルなどと
一緒にミキサーにかけてジェノベーゼソ-スに
しました。自分達で育てたと思うと大切に味わ
いたくなるものです。たっぷり採れたので次の
春が来るまで楽しみたいと思います。


夕方は4時半頃には日が沈み、長い夜がやって
きます。師走に入ってから娘とクリスマスツリ
ーを買いに行き、夜になると2人でフェルトを
縫ったり、生のオレンジを乾燥させてオ-ナメ
ントを作りました。娘は先月で13歳になり、
どうやらサンタの秘密に気付いたよう。今年は
学校の年少の子供達の為に、皆んなでサンタか
らのプレセントを作ったよ、と言っていまし
た。


娘の成長を感じるたびに、時が経つのは早いも
のだなと実感する今日この頃です。今年も無事
に一年を終える事が出来てホッとしています。
慌ただしい年の暮れ、どうぞお健やかにお過ご
しくださいね!


来年もどうぞよろしくお願い致します。 

 

カヒミ カリィ

ミュージシャン、文筆家、
フォトグラファー 。91年デビュー以降、
国内外問わず数々の作品を発表。
音楽活動の他、映画作品へのコメント執筆、
字幕監修、翻訳など幅広く活躍。これまで
カルチャー誌や文芸誌などで写真
執筆の連載多数。2012年よりアメリカ在住。

http://www.kahimi-karie.com
Instagram : @kahimikarie_official

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